読み物・忍足1回読みきり1
関西弁は本気でワカリマセン(謎)。
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電車の中
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毎朝乗る電車にいつも居合わせる、同じクラスの眼鏡のキミ。
私は運動部でもないのに、いつの間にかこの朝早い時間に電車に乗るようになった。
それは、多分キミを見たいから。教室ではない、この電車の中で。
同じクラスにいても私はあまり目立たないから、キミは私のことなんか分からないかもしれない。
毎朝、同じ電車に乗って同じ通学路を歩いて、同じ教室に行く。
「忍足ー、今日席替えだってよ」
「そうなん?めんどいわ・・・」
もしも、席が隣になったら、キミは私に気がつくのだろうか。
声を掛けれるのだろうか。
黒板に書き出される新しい席順。嘘のような文字が見えた。
「はい次、忍足の横は」
先生の声に促されて、私は席に着く。
細い通路を挟んで、横にはキミがいる。初めて私がキミの横に並んだ。
「さん、よろしくな」
「え?」
不意に名前を呼ばれ、声の主を見ると、眼鏡の奥で笑うキミが居た。
「いつも朝同じ電車やん、気がついてなかったん?」
キミは当然の様に私が毎朝同じ電車に乗っていたことをサラっと口にする。
「やっと声かけれたわ。さんなかなか近くに来ないから」
「そ、そおだった?」
「避けられてるんかと思うわ、流石に(苦笑)」
宜しくね、って、言ったキミが見せてくれた笑顔が私がずっとしまっていた言葉を呼び出した。
「・・・今度は、隣に行ってもいい?」
「いつでもどうぞ、さん」
★end★
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毎朝乗る電車にいつも居合わせる、同じクラスの眼鏡のキミ。